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【夫に隠し子がいた!】不動産のよくある質問とその答え 遺産相続編その2

前回の不動産相続の事例では非常に典型的なケースを取り扱いました。

 

fudousandokuritsu.hatenablog.com

 

 

では、もし、亡くなった夫に隠し子がいた場合、遺産相続はどうなるでしょう?

 

前回の事例1をそのまま活用して改めて事実を整理します。

 

事例2(事例1を一部省略して隠し子を登場させています)

 私(主人公)には父と母と妹が1人います。私は社会人として独立し、母と妹を田舎に残して独り立ちして東京で会社員をしています。父は病気のため会社を退職して療養生活をし、母はパートと主婦をし妹は学校に通いながら父の看病をしています。

 そんなある日、父が急死。その後、葬儀や墓・仏壇の手配など、目まぐるしく日々は過ぎ去り、49日を過ぎて、ようやく一息つける状態になると、今度は遺産相続の話が始まりました。

 実家は家の土地が約2000万円、建物は古いので価値は0、そして400万円の価値がある畑、また父の預金通帳には800万円が残っていました。畑は不要なので400万円で売却し、父の葬式費用200万円は私が出したのでそれは返金してもらい、結果、手元には2000万円の土地と現金1000万円、合計で3000万円。

 この3000万円相当を残された家族3人で分けようと話し合っていたそのとき、1本の電話が鳴ります。母が電話口で、「え?弁護士?子供?なんですかあ???」とパニック状態に。異常を察知した私が電話を替わると、母は床にうずくまってしまいます。妹が介護しながら私のほうを心配そうに見つめます。

 私もただ事ではないと電話の相手を警戒しながらよく聞くと「お父様には日本に帰化したタイ人の愛人がいて、お子さんが1人いらっしゃいます。お子さんも日本国籍を持っていて、日本で暮らしています。このたびお父様が亡くなられたので遺産相続の権利がお子さんに発生しています。」とのこと。

 タイ人?愛人?お子さん?と私もパニックになりかけましたが、そういえば父は会社を退職してからよくタイ式マッサージに通っていたことを思い出しました。そこで出会ったマッサージ師とカラオケに行っているようで、留守にしがちだったのを妹から聞いていたのを思い出しました。きっとそこで出会ったのでしょう。子供までつくって・・

 事態は急展開。翌週、タイ人の女性と子供が自宅を訪ねてきました。タイ人の女性は「イサン、イサン、アノヒト、シンジャッタ」と片言。一緒に来た弁護士も難しい法律用語で遺産相続の話をしてきます。

 でも、今まで会ったこともない愛人と子供に父の遺産を譲らないといけないのでしょうか?突然でてきても困ってしまいます。母は愛人に嫉妬して一銭も譲らないと言っています。「こういうときって相続のルールはどうなっているんだっけ?」と家族みんなが思いました。

 

満点宅建士の相続相談

今回のケースは土地の相続と隠し子問題が重なった非常に複雑なケースです。

 

前回同様、民法900条の決まりでは、母が1/2を相続し、残りの1/2を子供達で平等に分けることになります。

 

しかし、愛人に子供がいた場合、すなわち非嫡出子の存在が明らかになった場合はどうなるかがポイントです。

 

実はこれ、法律で決まっているんです。

 

民法900条では、嫡出子(私と妹)であれ、非嫡出子(タイ人の子)であれ、各自の相続分は等しいものとするという決まりなんです。

4年前までは非嫡出子は嫡出子の半分しか相続できないと決まっていたのですが、それじゃあ愛人の子どもがかわいそうだろうということで法律が改正されて均等に相続することになったんです。法律を改正した人に愛人と子供がいたという噂もありますが真偽不明です!

 

そのため、相続の仕方は次のようになります。

 

母が1/2、残りの半分を子供3人(私、妹、タイ人の子)でわけるので、私が1/6、妹が1/6、タイ人の子が1/6となります。1/2を3人でわけるのでこうなります。

 

手元には2000万円の土地と現金1000万円、合計で3000万円がありましたが、これを分配すると、母は1500万円相当、私は500万円、妹500万円、タイ人の子が500万円です。

 

突然現れた腹違いの弟に500万円もっていかれた妹は不満げでしたが、子供がとても可愛かったので許すことにしました。さすがに土地はあげられないので、タイ人の子供に現金で500万円を渡し、土地は母が1500万円分、私が500万円分の比率(3:1)で共同所有し、残った現金500万円を学費が必要な妹に譲りました。家を愛人に取られると思っていた母も安堵したようで、これで円満に解決したそうです。

 

不動産はとても難しく、相続などは人生で1回くらいしかないものなので、身近な問題として捉えづらいかもしれませんが、不動産のことなら近所の不動産屋に相談してください。現金が必要な場合は売却のご相談に乗ってあげられることがあるかもしれません。