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不動産のよくある質問とその答え 遺産相続編その1

ご両親の不動産を相続したり、新しくマイホームを買ったり、などなど不動産は人生ではとても重要なライフステージの節目節目にみなさんの目の前に現れます。

 

不動産というのは金額も高額ですし、法律や税金もからんでくるので素人の人にとってはとても難しく、少しでも知識不足だと払わなくてもいい税金を払うはめになることもあります。

 

今回は不動産の遺産相続について考えてみます。

 

事例1

 私(主人公)には父と母と妹が1人います。私は社会人として独立し、田舎を独り立ちして東京で会社員をしています。妹は地元の介護の専門学校に通いながら、地元に一番近い地方都市での就職を希望しています。父は病気のため会社を退職して療養生活をし、母はパートと主婦をしています。父は厳格な人なので、妹が就職しても実家に住むように言いつけており、妹も父の看病をしながら実家住まいを了承していました。

 そんなある日、私が会社から帰ってくると実家の母から電話が入り、父が亡くなったという連絡がありました。病気のために亡くなったため急死であり、会社を休んで、急いで帰郷。その後、葬儀や墓・仏壇の手配など、目まぐるしく日々は過ぎ去り、49日を過ぎて、ようやく一息つける状態になりました。

 すると母と妹が「実は話がある」と、タンスの奥底からなにやら書類を持ち出してきました。よく見ると家の権利書と父の預金通帳でした。話を聞くと、相続の手続きをしないといけないとのこと。

 実家は家の土地と建物、そして畑、また父の預金通帳には800万円が残っていました。家の建物は古いので価値は0。土地は駅に近いこともあり、約2000万円、畑も結構広かったので400万円くらいの価値があるそうです。合計で3200万円。

 母の意向としては農作業はもうしないので畑は売りたいとのこと。それについては妹も私も同意でした。そこで、近所の不動産屋さんに相談して、畑の隣に住んでいた町会議員の知り合いに買ってもらうよう手配してもらいました。畑を売却できたことで、残されたのは、土地2000万円と現金1200万円です。これについて、どのように分けるのかが問題になりました。

 母は当然のようにこの家に住み続け、妹もこの家に住みながら、地方都市に就職したいというつもりのようです。ただし、パートの母や学生の妹には葬式代や墓代は出せなかったので、その費用は私が出していました。その額、200万円。

 父の残った財産からその200万円は返してほしいと相談しました。母も妹も納得していましたが、妹が突然、父を介護していたのは母と自分で、兄(私)は東京でなんの苦労もしていないので残ったお金や土地・家は全て妹と母のものだと言い始めました。昔から突然だだをこねる妹でしたが、また始まったかと思いつつ、「こういうとき、相続の割合やルールってどうなっているんだっけ?」と家族一同、法律を知らないことに気が付きました。

 

満点宅建士の相続相談

 

今回のケースは土地の相続がからんだケースです。実は相続には民法で決まったルールがあるんです。それをご紹介します。

 

まず、相続の場合は遺言があるかないかが重要ですが、今回は急死ということもあり遺言はありません。そこで、通常通りのプロセスになります。

 

まず、配偶者は常に相続人になります。今回の場合は「私の母」です。配偶者との間に子供がいればその子供も相続人になります。今回の場合は「私」と「私の妹」です。

 

民法900条の決まりでは、母が1/2を相続し、残りの1/2を子供達で平等に分けることになります。

 

そのため、今回は、土地2000万円と現金1200万円の財産のうち、墓や葬式代の200万円を私に返してもらった後の財産(土地2000万円、現金1000万円)をこのルールに従って分けます。

 

母は1500万円相当、妹は750万円相当、私は750万円相当がもらえるはずです。合計で3000万円。

 

しかし、現金は1000万円しかありません。土地は2000万円相当あると言っても母と妹はこの家に住み続けたいので売るつもりはありません。つまり分けるに分けられないことになります。

 

こういうケースは時々よくあるのですが、この家族では、話し合いの結果、土地を母が1000万円分、私と妹で500万円ずつの共有持ち分(2:1:1の比率)とし、現金も母が500万円、私と妹で250万円ずつとして分けたそうです。妹が父の看病をしてくれたことについては、妹が就職するまでの専門学校の学費を私が出してあげることで妹さんも納得したそうです。

 

これなら円満解決ですね!

 

 

不動産はとても難しく、相続などは人生で1回くらいしかないものなので、身近な問題として捉えづらいかもしれませんが、不動産のことなら近所の不動産屋に相談してください。現金が必要な場合は売却のご相談に乗ってあげられることがあるかもしれません。