28歳満点宅建士が不動産会社を開業する実況中継

宅建実務試験満点の宅建士がインターネット不動産会社を起業!

不動産屋の実務 現場視察

とある物件が持ち込まれました。地方都市からさらに車で1時間ほど山の中に入ったところにある人里離れた物件です。

 

 

色々な面で調査したところかなりいい物件ということが判明したので、紹介者と共にすぐに現場出張することにしました。実際に目で見て確かめないとわからないこともあるからです。しかし、なんでもかんでも現場出張するわけではありません。あくまでも調べた結果として良さそうな場合に限ります。そのためこの出張はかなり確度が高いと思っていました。

 

 

紹介者の案内で車で揺られること1時間

 

山の中にある集落につれてこられました。自分の人生で、旅行などでは絶対に来ないような所です。仕事だからこそ来ることができるのが醍醐味です。

 

するとなぜかすぐに村役場につれていかれました。実は、役場はちょっと苦手なのです。東京の不動産屋が来たとなると、役場の主事や主任の人がなんとか村に都会の人を連れてこれないかと相談を毎回受けるからです。今回もそうなるのかなと内心どきどきしたのですが、村役場の中に、村民用の憩いのスペースがあり、そこの談話室を商談用に使うことになっていたのです。少し一安心です。

 

 

しかし、その談話室にはすでに数名が座ってなにやら話し込んでいました。紹介者は平然とその談話室に入っていって、その数名とにこやかに話しはじめ、私のことも紹介してくれました。どうやらその案件の関係者のようです。

 

不動産売買では数多くの関係者がからんでいます。1案件だけでもいろいろなところから人がでてきます。動く金額が大きいので確認のために同席する人や何か商売につながらないか企んでいる人まで利害関係者が多いのが特徴です。

 

今回も、地主の取りまとめをしている地元の有志の方Aや、その方の相談を受けている地元不動産屋B、そのBから工事の相談を受けているCやその下請けのD、元村議会議員で不動産関係の協議会長をしているE、そしてその村と紹介者をつなげてくれたもう一人の紹介者Fの6人がその談話室にいたのです。私と紹介者も含めると8名。みんな利害関係が違うので意見がまとまりません。

 

そもそも地権者が来ていないため脱線した話が多く、それ以外にも、工事は指定業者じゃないとダメと言うCとD(なぜ指定されているのか不明)、地元貢献をしろと言うEにうなずくBとFなどなど、本質的な不動産売買の話はできず、外堀ばかりが話されます。

 

これコントじゃないか?と思うほど腹を抱えて笑いそうになりましたが、ぐっとこらえて、地権者の要望を一番知ってそうなAとできるだけ多く話そうとします。権利は地上権なのか売買なのか、金額の要望や引き渡し時期などを聞こうと話しかけるのですが、そのたびにCとEが話をさえぎってきます。地元貢献しない奴には売れない、とか、工事のやり方によっては売ることはできない、などなど、本当の権利者でもないのに勝手に売買条件を決めてきます。

 

正直困ってしまいますが、こういうのは過去にも経験したことがあるので、ぐっとこらえて、とにかくAに対して好印象を持ってもらうことに専念します。名刺を頂くことがなによりもこういう場合は最優先です。一番いい方法は、その日はその場をなあなあで済ませて、後日、名刺に書かれたAの電話番号に電話して、直接話すことです。地権者と直接会える段取りを決めて、もう一度現場出張するのが一番スムーズです。その際にはAには「CとEの要望は前回充分に聞いたから今回は来なくていいです」とはっきり同席を断ることです。地元の人たちなので週に4回くらいは会っている可能性があり、そういう間柄だからこそ秘密がない関係になっている場合があります。そのため、何も言わないと当然のように次回の訪問のときも同席してきます。話が混乱するので全く意味がない打ち合わせになってしまいます。きちんとお断りするのが一番スムーズなのです。

 

 

今回のそのパターンでいこうと決めたので、CやEの話はとりあえず聞き置いて、Aには好印象をもってもらうべく態度に気を付けて、その日はそれで現場出張を終えました。あまり収穫はないのですが、こういう場合は一度、犠牲となる出張をつくらないと話が次に進まないので、これで良しとしました。次回出張する際は地権者に会えるように段取りをしようと考えています。