28歳満点宅建士が不動産会社を開業する実況中継

宅建実務試験満点の宅建士がインターネット不動産会社を起業!

日本の不動産会社のほとんどはただの紹介屋である

はてなブログでこのエントリーが人気を集めていたのであやかってみました。

  

miyazawataichi.hatenablog.com

 

内容としては最近の不動産テックといわれる不動産×IT企業の中身はSUUMOなどの不動産サイトからデータを引っ張ってきて、人工知能ディープラーニングで少し加工してブランディングしているだけで、宅建の知識もない、という内容です。

 

 

確かに最近の不動産テックといわれている企業を宅建士の立場から見ても、スマホで賃貸物件のおすすめが見られる、接客をチャットボットでやっているくらいなもので、既存の不動産会社が瓦解するような大きなインパクトはありません。さざ波にもならない感じです。人工知能より町の不動産屋のおじさんのほうがお値打ち物件を隠し持っています。実際に内覧しないで物件を決めるのは危険です。アナログ頼みの業界なのです。

 

 

しかし、ではそもそも普通の不動産会社ってどんな業態なんだっけと我に返って考えてみましょう。

 

 

不動産業界にはRETIOという組織があります。宅建試験を主催してたりする一般財団法人不動産適正取引推進機構のことです。

 

この組織が発表している統計によると、不動産業界のほとんどは住宅賃貸(アパート)か不動産賃貸(事務所・店舗)なのです。下のグラフの緑と青が該当します。圧倒的です。

 

 

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http://www.retio.or.jp/research/pdf/cen_002.pdf

 

住宅賃貸や不動産賃貸については皆さんご存知のレインズという不動産物件情報を登録・閲覧できるシステムがあり、そこに登録された物件の中からお客さんの好みにあった物件を紹介することになります。もちろんレインズに登録されていない囲い込み物件もありますが、結局は大家から紹介を依頼されたものが中心で、レインズであれ、大家であれ、不動産会社がやっていることは物件の単なる紹介です。付加価値はほぼありません。見やすいようにマイ速をカラフルにしたり、フォントを替えたりするだけです。

 

 

つまり、不動産テックの会社がSUUMOなどの会社にクローラー対策をされてしまう脆弱性と同様に、既存の不動産会社もレインズへのアクセス拒否や大家からの絶交にはめっぽう弱いです。逆に言えば、レインズの魅力は圧倒的で、レインズを買収できるなら様々な企業が手をあげると思います。ご紹介したエントリーでもSUUMOのようにデータを持っている会社は魅力的だと記載されていましたが、それはその通りです。胴元なのですから。レインズを買収したいと言っているようなものです。

 

 

しかし、不動産テックの可能性はこのようなデータの取り扱いだけにあるわけではありません。

 

 

今の不動産業界の問題点は、不動産マーケットの参加者が市場参加者全員ではないため、不動産価格が必ずしも市場価格にはなっていないことです。これは賃貸でも売買でも言えますし、仲介業者の選定に選択肢が無いこともそうです。ここを実務を通じて掘り下げていくと不動産テックの新しい発想や業態が生まれてくる発信源になるのですが、現役の宅建士からすればテクノロジーを活かす余地はかなり大きいと思います。