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「賃貸より持ち家」は本当だった!賃貸派の意外な盲点とは?

永遠のテーマである「賃貸」か「持ち家」かという論争。

 

前回も私としては「持ち家」派を支持することを表明しました。

 

fudousandokuritsu.hatenablog.com

 

しかし、いたるところで賃貸派の意見が幅を利かせています。

 

gendai.ismedia.jp

 

例えばこの記事では、賃貸と持ち家を次のように比較しています。

 

①7000万円のマンションを購入した持ち家派(ローン期間:25年)

⇒毎月のローン返済額は28万6247円=年間343万円

⇒さらに管理修繕費で毎月3万円=年間36万円

⇒さらに固定資産税が年間20万円

⇒上記合計で約年間400万円の負担が発生

⇒25年間合計で約8587万円

 

②25年間賃貸の賃貸派(築8年で、先ほどのマンションと同じ条件)

⇒毎月約20万円の賃料として、25年間で6000万円

⇒2年に1回の更新料が発生するとして25年間で250万円

⇒上記合計で6250万円

 

 

①と②を比べて、②のほうが払う金額が少ないから賃貸がいいというのが、世の中の賃貸派の論拠です。

 

さらに賃貸派としては、ローン期間が終わって、家が自分の所有物になったとしても経年劣化のための積立金や大規模工事の追加費用が発生するから、持ち家なんて損ばかり、賃貸派のほうがいいと言っています。

 

では、果たして本当にそうなのでしょうか?

 

仮に、働き盛りの35歳の2人(Aさん、Bさん)が25年経った①Aさんと②Bさんの姿を想像してみましょう。

 

2人は60歳になっています。子供はどちらも成人して独り立ちし、家では妻と2人きりです。AさんとBさんの2人は今年、会社を定年退職しました。年金が出る65歳までは無収入ですが、貯金もあるのでそれを切り崩して生きています。

 

この時点で2人の出費は以下の通りです。

Aさん、Bさん:60歳

①持ち家派:ローンは返済し終わったので、毎月管理修繕費が3万円、固定資産税も含めると、年間の出費は56万円

 

②賃貸派:まだ賃貸に住んでいるので毎月20万円、年間240万円支払っています。

 

 

もう会社を定年になっているので正直毎月20万円も出費があるのは痛いと思います。貯金はどんどん減ってきています。

 

 

さらに5年後の65歳になりました。2人とも年金がもらえるようになりました。毎月約25万円ほどもらえます。年間300万円です。

 

Aさん、Bさん:65歳

①持ち家派:出費は相変わらず年間56万円です。しかし今年は大規模改修があるそうです。Aさんのマンションは修繕積立の管理がきちんとなされており、10年に1回の小規模改修を何度も繰り返してきたので手入れはきちんとされています。そのため今回の大規模改修では1軒500万円を追加で払えばいいだけだそうです。年金がもらえるようになったとは言え500万円はちょっときついです。

 

 

②賃貸派:今まで家賃関連で年間240万円も払っていました。この5年間で1200万円も使ったことになります。貯金が底をつきそうだったので年金の300万円は非常に助かります。家賃のためにもう貯金を切り崩さなくてもよさそうです。

 

 

さらに10年後の75歳になりました。

 

Aさん、Bさん:75歳

①持ち家派:出費は相変わらず年間56万円です。今年は10年に1度の中規模改修の年です。しかし、築40年にもなってきたので至る所でひび割れやエレベーターの故障が発生しています。このマンションを買った2017年のテクノロジーはなんとか2057年の今でも使えていますが、経年劣化には逆らえません。だんだん空き家も増えているようです。しかし、2017年の頃も地方で空き家問題が多発していたので、できるだけ都心に近いマンションを買って正解でした。まだこのマンションは入居率が高いおかげで、今回の中規模改修の修繕積立費の追加支払いはありませんでした。

 

②賃貸派:家賃関連で年間240万円を今まで40年間払ってきました。住んでいたアパートも今年で築48年になり、大家が亡くなって息子さんが相続したそうです。その息子大家さんが先月我が家を訪れて、アパートを今年の年末に取り壊すから退去してほしいと言ってきました。10ヶ月先のことなので、準備期間はそれなりにありますが、不動産仲介会社を訪問したところ、75歳の老夫婦に貸せる家は無いと断わられてしまいました。10件くらい探して、ようやくBさんの息子が連帯保証人になってくれるなら貸してもいいという物件を見つけました。ただ、病気などが心配で、次に住むアパートが終の棲家になると思っていたので、息子夫婦には迷惑をかけられません。もしそのアパートで自分が死んだら、事故物件になってしまいます。不動産の価値が落ちてしまうので、住むのを断られたり、今までにない条件が課せられたりするのは理解できます。さて、どうしたものか。75歳になってまで住む家に悩まされるとは・・・

 

さらに10年後の85歳になりました。

 

Aさん、Bさん:85歳

①持ち家派:実は今年、Aさんは亡くなりました。突然のことでしたが、天寿を全うされたのです。さて、残されたのはAさんが購入した7000万円のマンションです。築年数は50年。正直、建物の価値はありません。土地だけの価値として2000万円程度あるそうです。Aさんの息子さんが相続しました。Aさんは年間56万円の管理修繕費用や税金を払っていたものの、年金収入があったので、息子に現金の遺産も残してあげることができました。

 

②賃貸派:実は今年、Bさんも亡くなりました。Bさんは息子夫婦に連帯保証人になってもらえてなんとか住める物件を見つけていたのですが、その後も契約更新を断られ、同じような住み替えを余儀なくされていたのでした。老夫婦への賃貸住宅市場の風当たりはとても強かったのです。

さて、Bさんは自宅で亡くなりました。そうです、Bさんが住んでいたアパートは事故物件になっていたのです。Bさんの息子は仕事中に大家から電話を受けて、その日の夜から急きょ葬式や通夜などを済ませたうえで、事故物件の処分対応もしなければいけませんでした。大家と交渉して清掃代の8割を負担することに。金額でいうと400万円程度です。

Bさんは、年間家賃が240万円、年金が300万円だったので、現金の遺産はほとんど残っていませんでした。清掃代を加えると、息子が出費をした形になります。

 

 

このように、賃貸派と持ち家派の人生を考えると、どちらがいいでしょうか?もちろん、賃貸派が途中で安いアパートに引っ越すこともあり得るでしょう。それでも夫婦で暮らすなら家賃は8万円くらいは最低でもするのではないでしょうか。Aさんの年間出費の2倍の出費が死ぬまでかかるのです。そのうえで、息子夫婦に事故物件の後処分の迷惑までかけてしまいます。

 

 

このように、死ぬまでのライフプランを具体的に思い描くことでどちらが有利かがはっきりわかると思います。宅建士としては持ち家派をお勧めします。